太宰治のこと【桜桃忌が近くて】

 私は太宰治が書いた文章が好きです。確か最初に人間失格を読み、それからなんとなく太宰治の作品を読み漁ったりしたのですが、一時期これまたなんとなく苦手になり、苦手な作家さんだなと思っていた時期がありました。けれど、しばらくたってなんとなく読み返したら、やっぱり好きだなあ、と思った次第です。

 私が一番好きなのは「走れメロス」ですが、「太宰治はすごいな」と感じたのは「駈込み訴え」という、あまりメジャーではない作品でした。「駈込み訴え」の、ぐいぐい読み手を引き込む感じが、なんとも凄まじいもののように思えて、それからは太宰治の文体に気を配って読むようになりました。「走れメロス」の力強さももちろん好きなのですが、私にとっては「駈込み訴え」が一番です。また、「富嶽百景」はふわふわしたような幸福感が漂っていて、この作品もまた何度も読んだ気がします。

 6月19日は太宰治の誕生日にして命日、というか、玉川上水に入水自殺を図ったのが6月13日で、その後下流で発見された日が6月19日ということです。この日を「桜桃忌」というのですね。太宰治は晩年に「桜桃」という作品も書いていて、それによってある作家の方が「桜桃忌」と名付けたのだそうです。

 6月になって、家のカレンダーがサクランボの絵になっていて、「桜桃」と書かれていたのですね。「桜桃、桜桃」と考えているうちに、ああそういえば、太宰治の桜桃忌が6月だったんじゃないかしら、と思い至った次第です。それで調べてみたら、やっぱり6月に桜桃忌があって、それをほんのり思い出すあたり、やっぱり私にとって太宰治はちょっと特別な作家なんだな、と思うのでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です